WEB制作 2025年12月23日

RFP(提案依頼書)の書き方を説明。ホームページ制作の発注で失敗しないための3つのポイントも解説

ホームページの制作を外部に発注する際には、制作会社に対して自社の要望を正確に伝えることが欠かせません。自社の要望が抽象的なままプロジェクトを進めると、「期待していたデザインと違った」「必要な機能が不足していた」「予算が大幅にオーバーした」などのトラブルを招く可能性があります。

ホームページ制作の発注で失敗しないためには、契約前に「RFP(提案依頼書)」を作成して制作会社へ提出することが重要です。

この記事では、ホームページ制作の発注においてRFPが必要な理由や基本的な記載項目と書き方、作成する際のポイントなどについて解説します。

RFP(提案依頼書)とは

RFP(Request for Proposal:提案依頼書)とは、ホームページ制作やシステム構築などを外部の制作会社に依頼する際に、発注側が提案してもらいたい要望をまとめた文書です。

RFPには、制作目的や達成したい目標、具体的な機能要件、予算などのプロジェクトの軸となる情報を記載します。

コンペ形式で制作会社を選定する場合には、複数の候補を絞り込んだあとに各制作会社へRFPを提出します。制作会社と契約を交わすまでの基本的な流れは、以下のとおりです。

フロー内容
1.RFPの作成プロジェクトの目的やホームページの要件、予算、スケジュールなどを記載したRFPを作成して社内の承認を得る
2.制作会社の選定制作会社のリサーチを実施して候補となる数社に絞り込む
3.RFPの提出候補の制作会社にRFPを提出して、必要に応じて質疑応答を行う
4.提案書の受領制作会社から提出されたRFPに基づく提案書を受領して、自社が設定した評価基準に沿って評価・審査を行う
5.制作会社の決定提案書の評価結果に基づいて委託する制作会社を決める
6.条件交渉・契約契約内容や費用、納期などの条件について制作会社との交渉・最終調整を行い、契約を締結する

なぜホームページ制作でRFPの作成が必要なのか

ホームページ制作の発注において、制作会社との認識を統一してプロジェクトを円滑に進めるために、RFPの作成が必要といえます。

ホームページ制作においてRFPが必要とされる理由

  • 自社の課題や要望に沿った提案を受けるため
  • 複数の制作会社を同じ条件で比較するため
  • 契約交渉をスムーズに進めるため
  • 制作会社と発注企業の認識を統一するため

自社の課題や要望に沿った提案を受けるため

自社の課題や要望に沿った提案を受けるために、RFPの作成が必要です。

自社の要望を明確に伝えていない場合、制作会社が「どのようなホームページを作成すればよいのか」を正しく理解できず、期待していた提案を受けられない可能性があります。

RFPを作成し、プロジェクトの目的や解決したい課題、求める要件などを具体的に示すことで、自社の状況に即した質の高い提案を受けられるようになります。

複数の制作会社を同じ条件で比較するため

RFPは、コンペ形式で制作会社を公平に評価するための資料としての役割も果たします。

RFPを作成することで、候補となるすべての制作会社に対して、ホームページ制作の要望や前提条件を統一して提示できます。その結果、複数の制作会社から提出された提案内容を、同一の基準で比較・評価することが可能になります。

提案の質や見積金額、体制などを客観的に比較できるため、自社の要望を最も反映できる制作会社を選定しやすくなります。

契約交渉をスムーズに進めるため

ホームページの要件や予算、納期などをRFPで事前に具体化しておくと、制作会社との契約交渉をスムーズに進められます。

制作会社が提出した提案書とRFPの内容を照らし合わせながら条件を確認できるため、費用やスケジュールに関する認識のズレを防ぐことが可能です。結果として、交渉にかかる工数を削減し、速やかにプロジェクトを開始できます。

制作会社と発注企業の認識を統一するため

RFPの作成は、制作会社と発注企業の認識を統一するためにも重要です。発注側の要望が曖昧なままホームページ制作を進めると、「イメージと違う」「伝えた要望が反映されていない」といった手戻りや修正が発生しやすくなります。

RFPにプロジェクトの目的や要件を明文化して共有することで、制作会社と発注企業の共通認識を形成でき、制作過程でのトラブルを未然に防ぐことにつながります。

RFPの記載項目と書き方

RFPは、主に5つの項目で構成されるのが一般的です。各項目を整理して記載することで、制作会社は提案の方向性を正しく理解でき、発注側は提案内容を公平に比較・評価しやすくなります。

ここでは、ホームページ制作におけるRFPの基本的な構成と、それぞれの項目で押さえておきたいポイントを解説します。

①会社概要

まずは、ホームページ制作を発注する企業の基本情報を記載します。

業界や事業内容、提供している商品・サービスなどを整理して伝えることで、制作会社は自社のビジネスモデルや強みを理解しやすくなります。業界特性や市場環境を踏まえたうえで、より精度の高い提案を受けるためにも重要な項目です。

また、企業理念やビジョンを記載しておくことで、デザインやコンテンツのトーンを検討する際の判断材料にもなります。

▼主な記載項目

  • 会社名
  • 所在地
  • 企業規模
  • 事業内容
  • 主要な商品・サービス
  • 企業理念・ビジョン
  • 市場における立ち位置(シェア・実績など)

②プロジェクトの概要

プロジェクトの概要は、ホームページ制作の全体像を制作会社に伝えるための重要な項目です。

制作会社は、この情報をもとに企画や構成、デザインの方向性を検討します。そのため、制作(またはリニューアル)の目的やターゲット、現状の課題、達成したいゴールなどを具体的に記載することが求められます。

予算や希望納期についても、この段階で明示しておくことで、現実的かつ実行可能な提案を受けやすくなります。

▼主な記載項目

  • プロジェクトの名称
  • ホームページ制作(リニューアル)の目的
  • 解決したい課題
  • 達成したい目標
  • 予算の規模
  • 希望する納期・公開時期

③提案に関する要望

この項目では、制作会社に対して「どこまで、どのような内容を提案してほしいか」を明確にします。

ホームページの構成やデザイン案だけでなく、現状分析や改善施策の提案、プロジェクト体制なども含めて依頼することで、制作会社の提案力や専門性を比較しやすくなります。

評価に必要な情報をあらかじめ指定しておくことで、提案書の内容にばらつきが出にくくなり、選定作業を効率的に進められます。

▼主な記載項目

  • 制作会社の基本情報
  • 現状サイトの分析・課題解決策の提案
  • ホームページの企画・コンセプト
  • サイトマップ(サイト構成)
  • デザイン案
  • オプションの提案
  • セキュリティ対策
  • プロジェクト体制
  • 制作スケジュール・納期目安
  • 制作実績
  • 見積もり金額

④ホームページの制作要件

ホームページの制作要件では、サイトに求める具体的な機能や性能、デザインに関する条件を整理して記載します。

インフラや機能、デザインの要件を事前に共有しておくことで、制作会社は技術的な制約や実現可能性を踏まえたうえで提案を行えます。また、「ホームページを通じて何を実現したいか」という目的も合わせて伝えることで、制作会社の知見を活かした改善提案を受けやすくなります。

リニューアル案件の場合は、現在のホームページの構成や利用しているシステム、運用上の課題などもあわせて記載しておくことが重要です。

▼主な記載項目

項目概要記載内容の具体例
インフラ要件ホームページを構築・公開するための技術的な基盤要件開発環境(OS)、ドメイン、サーバー、データベース、CMS、SSL など
機能要件ホームページに実装する具体的な機能問い合わせフォーム、会員登録、サイト内検索、チャットボット、オンライン決済、予約システム など
非機能要件性能や安全性、使いやすさなど品質に関する要件ページ表示速度、セキュリティ要件、拡張性、アクセシビリティ基準 など
デザイン要件ビジュアルやUI・UXに関する条件トーン&マナー、コーポレートカラー、ブランドカラー、画像、UI・UXの仕様 など

⑤今後のプロジェクトの進め方

最後に、制作会社がRFPを受領してから契約に至るまでの進行フローを記載します。

提案書の提出期限や評価方法、選定スケジュールを明確にしておくことで、制作会社は提案準備の計画を立てやすくなります。また、RFP提出後の質疑応答や連絡方法をあらかじめ指定しておくことで、やり取りをスムーズに進めることが可能です。

▼主な記載項目

  • 提案書の提出期限
  • 発注企業への質疑応答の期間・連絡方法
  • 提案書の評価項目・評価基準
  • 選定結果の通知時期・連絡方法
  • 契約予定日
  • キックオフの時期目安

ホームページ制作で失敗しないために。RFP作成で押さえるポイント

自社にとって最適な提案を受けるためには、RFPを通じて課題や実現したいことを具体的かつ分かりやすく伝えることが重要です。

ここからは、ホームページ制作の発注で失敗しないために、RFP作成時に押さえておきたいポイントを解説します。

ポイント1. 現状課題を洗い出しておく

RFPを作成する前に、自社が抱えているホームページに関する現状課題を整理しておくことが重要です。

▼ホームページに関する課題例

  • PV数(ページビュー数)が増えない
  • 問い合わせや資料請求が少ない
  • スマートフォンでの離脱率が高い
  • 自社で更新を行えるIT人材がいない

例えば「問い合わせや資料請求が少ない」という課題の場合、コンテンツの内容や導線設計、デザインなどに問題がある可能性があります。現状課題を洗い出すことで、目指すゴールや優先順位が明確になり、プロジェクトの方針を定めやすくなります。

ポイント2. 「何を作るか」よりも「何を解決・実現したいか」を記載する

RFPでは、「どのようなホームページを作りたいか」だけでなく、「ホームページを通じて何を解決・実現したいのか」を言語化することが重要です。

要件を細かく指定しすぎると、制作会社ごとの強みや提案力が発揮されにくくなり、提案内容の比較が難しくなる場合があります。解決したい課題や達成したい目標を明確にすることで、制作会社の知見を活かした多角的な提案を受けやすくなります。

▼書き方の具体例

項目内容
悪い例UI/UXを改善したい
良い例問い合わせページの離脱率を70%から40%以下に改善したい

ポイント3. 複数の部門・担当者の意見を取り入れる

企業のホームページは、営業部門・マーケティング部門・採用部門など、複数の部門が関わる重要なツールです。

RFPを作成する際は、プロジェクト担当者だけでなく、関係する部門の担当者からも意見をヒアリングしましょう。現場の視点を取り入れることで、見落としていた課題や要望が明確になる場合があります。

複数の立場の意見を反映したRFPを作成することで、実務に即した提案を受けやすくなり、成果につながるホームページ制作を実現できます。

ホームページの発注に活用できるRFPのテンプレート

ホームページ制作の発注に活用できるRFPのテンプレートを作成しました。基本的な構成の参考としてご活用ください。

株式会社〇〇 コーポレートサイト提案依頼書
1.会社概要 会社名
所在地
企業規模
事業内容
商品・サービス
企業理念
2.プロジェクト概要 サイト制作の目的
現状課題
目標
予算規模
納期・公開時期
3.提案依頼内容 貴社の基本情報
依頼したいこと
提案書の提出期限
4.ホームページの要件 インフラ要件
機能要件
非機能要件
デザイン要件
その他
5.評価・選定について 評価項目
評価基準
提案書の送付先
質疑応答
選定結果の通知
契約予定日
契約予定日・キックオフ

まとめ | RFPを正しく作成して、ホームページ制作を円滑に進めましょう!ホームページ制作のお困りごとはTMCデジタルにお任せください!

RFP(提案依頼書)の作成は、ホームページ制作のプロジェクトを成功させるために欠かせない工程です。RFPを作成する際は、現状課題を洗い出したうえで、「どのようなホームページを作りたいか」ではなく、「ホームページを通じて何を解決・実現したいのか」を軸に記載することが重要です。複数の部門や担当者の意見を取り入れながら、自社の意図が正しく伝わるRFPを作成しましょう。

TMCデジタルでは、BtoB向けのホームページ制作・リニューアルを一気通貫でご支援しています。RFP作成のご相談から、戦略設計、サイト構築、公開後の運用まで、貴社の課題や目的に応じた最適なご提案が可能です。「マーケティングツールとしてホームページを効果的に活用したい」「制作会社選定で失敗したくない」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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