BtoBサイトの直帰率改善ガイド|GA4分析から実践対策まで

「サイトのアクセス数は増えているのに、問い合わせが増えない…」
もしあなたがそんな悩みを抱えているなら、その原因は直帰率にあるかもしれません。直帰率とは、サイトに訪れたユーザーが最初の1ページだけを見て離脱してしまう割合のことです。BtoBビジネスでは、一度離脱した見込み客を再びサイトに呼び戻すのは容易ではありません。「GA4やSEOはちょっと難しそう…」と思うWeb担当者の方に向けて、この記事では専門知識が浅い方でも取り組みやすい直帰率の改善方法を分かりやすく解説します。
直帰率とは?BtoBサイトにおける意味
直帰率とは、ユーザーがサイトを訪問したものの、十分な行動(エンゲージメント)を起こさずに離脱した割合を示す指標です。例えば、製品ページに訪問した100人のうち、70人が10秒未満の滞在で他のページも閲覧せず、資料請求などのイベントも発生しなかった場合、その直帰率は70%となります。
しかし、BtoBサイトの場合、直帰率が高いからといって必ずしも悪いとは限りません。ユーザーは、製品仕様書やマニュアルを確認したり、価格表や技術資料をダウンロードしたりするなど、必要な情報だけを取得して離脱するケースがあるためです 。このような場合、ユーザーの目的は達成されている可能性が高いと言えます。
重要なのは、直帰したユーザーが「満足して離脱したのか」、それとも「不満を抱いて離脱したのか」を見極めることです。

GA4で直帰率を確認する方法
Googleアナリティクス4(GA4)では、従来の「直帰率」ではなく「エンゲージメント率」がメイン指標となっていますが、設定を変更することで直帰率を確認できます 。
GA4での直帰率確認手順:
1. GA4の管理画面にログイン
2. 左メニューから「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を選択
3. 表の右上にある「鉛筆マーク(カスタマイズ)」をクリック
4. 指標の「+」ボタンから「直帰率」を追加
なお、GA4での直帰率の詳しい表示手順や活用方法については、【図解付き】3分でわかる!GA4での直帰率の表示方法と改善方法まとめで図解付きで解説していますので、あわせてご確認ください。
業種別で見る適正な直帰率の目安
自社の直帰率を確認していると、「同じ業界に属するサイトの平均直帰率はどのくらいなのか」が気になってくるはずです。実は、直帰率の平均値は、業種によって大きく異なります。
Webマーケティングサービスを提供する米Brafton社が業種別の平均直帰率に関するレポートを公開しています。今回はそのレポートを参考に、業種別の平均直帰率を見てみましょう。
業種 | 平均直帰率 |
---|---|
金融サービス | 53% |
病院・ヘルスケア | 54.96% |
医療機器・製薬 | 55.33% |
不動産 | 57.47% |
PC・ソフトウェア開発 | 60.76% |
ヘルス・フィットネス | 63% |
ITインフラ・サービス提供 | 64.21% |
経営コンサルティング | 67.49% |
出典:Brafton 2017 Content Marketing Benchmark Report

このグラフは、レポートの数値をグラフ化したものです。注目すべきは、業種間で最大14%の差が存在している点です。業種によって直帰率の目安が異なることが示されています。
直帰率が高くなる原因分析
サイトの直帰率が業界の平均値を超えている場合、早急な対策が必要です。直帰率が高くなるBtoBサイトの主な原因は、大きく以下の3つに分類できます。直帰率が高いことが判明したら、次はどこに原因があるか特定しましょう。

1. コンテンツ内容と検索意図のズレ
検索結果から訪問したユーザーが、期待していた情報をすぐに見つけられない場合です。たとえば「○○ 価格」で検索して訪問したのに、製品の仕様説明ばかりで価格情報が見当たらないケースなどが該当します。
2. ページ表示速度の遅延
数秒の遅延でも、ユーザーの離脱率は大幅に上昇します 。Googleの調査では、ページの読み込み時間が1秒から3秒に増加するだけで、直帰率が32%も上昇すると言われています。特に近年はモバイルデバイスからのBtoB検索も増えており、表示速度の影響は無視できません 。
3. 次のアクションが不明確
問い合わせや資料請求の導線が分からない場合もユーザーはサイトを離れてしまいます。例えば、ページの最下部にしか問い合わせボタンがない、ボタンの文言が分かりづらい、といったケースが該当します。
直帰率を下げる改善策1|検索意図の最適化
ユーザーが検索したキーワードの背景にある「真のニーズ」を把握し、それに応える情報をページの冒頭で提示することが重要です。
実践のポイント:
- ページの冒頭で「このページで分かること」を明示する
- 製品情報だけでなく、導入メリットや解決できる課題も併記する
- ユーザーの関心段階に合わせた情報の優先順位付けを行う
改善例:
製品紹介ページの場合、従来の「製品仕様→価格→お問い合わせ」という構成から、「解決できる課題→導入メリット→製品仕様→導入事例→お問い合わせ」という流れに変更することで、直帰率の低下が期待できます。

ユーザーの検索意図を深く理解し、質の高い記事を作成することは、オウンドメディア運営の成功にも繋がります。オウンドメディア運営の詳しいノウハウは、【2025年版】製造業オウンドメディア成功事例10選と運用完全ガイドで解説していますので、あわせてご確認ください。
直帰率を下げる改善策2|ページ表示速度の高速化
表示速度の改善は、直帰率低下に直結する重要な要素です。自社サイトの表示速度は、Googleが提供する無料ツール「PageSpeed Insights」で簡単に測定できます。ページのURLを入力するだけで、パフォーマンスの評価や改善点が分かります。

具体的な高速化手法:
- 画像を軽量化効果の高いWebP(ウェッピー)形式に変換
- 不要なJavaScriptやCSSファイルの削除
- 高速配信サービス(CDN)を活用してファイル読み込みを高速化
- サーバーのレスポンス時間短縮
多くのBtoBサイトでは商品・サービス資料や導入事例資料を掲載するため、特に画像の最適化効果は高くなります。モバイル対応も重要で、最近ではスマートフォンからBtoB商材の比較検討を行うビジネスパーソンも増加しています。
直帰率を下げる改善策3|CTA(行動喚起)の最適化
ユーザーが「次に何をすれば良いか」を迷わないよう、適切な箇所にCTA(Call to Action)を配置することが重要です。
効果的なCTA設計のポイント:
- ページの最下部だけでなく、コンテンツの途中にも配置
- 「お問い合わせ」ではなく「○○の詳細資料をダウンロード」など具体的な文言を使用
- ボタンの色やサイズで視認性を高める
- ユーザーの検討段階に合わせた複数のCTAを用意(資料請求・デモ申込・個別相談など)
BtoBサイトでは、いきなり「お問い合わせ」ではハードルが高い場合も多いため、「資料ダウンロード」「技術資料請求」など、段階的なアプローチを提供することが効果的です。

改善後の効果測定方法
改善施策の効果を正しく測定するためには、以下の手順で進めることをおすすめします。
1. 比較期間の設定
GA4で改善施策の効果を正しく測定するため、同じ条件での比較を行います。例えば、決算期(3月・9月)や展示会シーズンなど、BtoBサイトのアクセス数が大きく変動する時期は避け、比較的安定した期間同士で前後比較をするように意識しましょう。
2. 複数指標での総合評価
サイト全体と改善を実施したページごとに、直帰率だけでなく以下の指標も併せて確認することで、改善効果をより正確に把握できます。
- 平均ページ滞在時間
- エンゲージメント率
- コンバージョン率(問い合わせ・資料請求など)※主要ページのみ
- 1セッションあたりのページビュー数

直帰率改善は継続的なPDCAが鍵
BtoBサイトの直帰率改善は、一度の施策で完結するものではありません。検索意図の最適化、表示速度の高速化、明確な導線設計など、複数の要因を段階的に改善し、効果測定を繰り返すことが成功の鍵となります。
BtoB商材では、複雑なサービス内容や長期的な検討プロセスという特性があるため、ユーザーの情報収集行動を深く理解した上で改善策を実行することが重要です。
もし社内でのGA4分析や改善施策の実行に課題を感じられている場合は、BtoBビジネスに精通したパートナーと連携することで、より効率的に成果につなげることができます。
TMCデジタルは、製造業を中心とした多くのBtoB企業のWebサイト改善をご支援してきた実績があります。GA4の設定・分析から具体的な改善提案まで、お客様のビジネス目標達成をトータルでサポート可能です。
Webサイトの直帰率改善やGA4の活用にお困りでしたら、まずはお気軽にご相談ください。