デジタルマーケティングコラム 2025年5月30日

【初心者向け】製造業BtoBサイトで実践するGA4アクセス解析入門

なぜ今、製造業BtoBサイトでアクセス解析が重要なのか

変わるBtoB購買行動と情報収集プロセス

製造業におけるBtoB取引の世界では、顧客の購買行動が大きく変化しています。従来は展示会や訪問営業によって情報収集を行っていた担当者や技術者が、現在では検討の初期段階からウェブサイトを通じて情報収集を行うようになりました。

特に製造業のBtoB取引では、技術仕様や導入事例など専門性の高い情報を求めて、多くの担当者や技術者がウェブサイトを訪問します。彼らは単に製品情報を閲覧するだけでなく、技術資料をダウンロードしたり、詳細な仕様を確認したりと、より深い情報収集を行うようになっています。

こうした変化の中で、自社サイトがどのように利用されているのか、どのコンテンツに関心が持たれているのかを把握することは、マーケティング施策の成果を測定する上で不可欠となっています。サイト訪問者が本当に求める情報を提供できているか、コンテンツは適切に活用されているのかを知るためには、アクセス解析が必要不可欠です。

アクセス数だけでは見えないサイトの価値

「先月のサイトアクセス数は5,000PVでした」
このような報告を受けたとき、果たしてそれだけで自社サイトの価値を正確に評価できるでしょうか。答えは「できない」です。なぜなら、単純なアクセス数(PV数やユーザー数)だけでは、サイト訪問者が本当に必要な情報を得られたのか、関心を持ったのかがわからないからです。

例えば、あるページに多くのアクセスがあったとしても、訪問者がすぐに離脱してしまったのであれば、そのページは期待に応えられていない可能性があります。逆に、アクセス数は少なくても、訪問者が長時間滞在し、複数ページを閲覧して資料をダウンロードしたのであれば、それは質の高い訪問と言えます。

製造業のBtoBサイトでは特に、単純な「数」よりも「質」が重要です。技術資料のダウンロード数、製品詳細ページの閲覧時間、問い合わせに至るまでの行動パターンなど、訪問者の「エンゲージメント」を示す指標が、サイトの真の価値を表します。

質の高いリード獲得につながるエンゲージメント評価

エンゲージメントとは、訪問者がサイトやコンテンツとどれだけ深く関わったかを示す指標です。具体的には、サイト滞在時間、閲覧ページ数、特定のコンテンツ(技術資料やホワイトペーパーなど)とのインタラクションなどが含まれます。

製造業のBtoBサイトにおいて、エンゲージメントの高い訪問者は、製品や技術に対する関心が高く、将来的な商談につながる可能性の高い「質の良いリード」である場合が多いのです。

エンゲージメントを正確に測定・分析することで、以下のようなメリットが得られます

これらの理由から、製造業のBtoBサイト運営において、単純なアクセス数ではなく、エンゲージメントを重視した分析が求められているのです。次章では、その分析ツールとしてのGA4(Google Analytics)の基本と活用法について解説します。

GA4で始めるアクセス解析:初心者ガイド

押さえておくべき基礎知識と用語

GA4(Google Analytics)は、従来のユニバーサルアナリティクスから大きく進化した、Googleの最新アクセス解析ツールです。製造業のBtoBサイト担当者として、まずは以下の基本用語と概念を押さえておきましょう。

セッション:
GA4におけるセッションとは、WEBサイトの訪問回数です。訪問から離脱までの流れを1つのセッションとしてカウントします。

エンゲージメント:
GA4では、単なる滞在時間だけでなく、サイトとの関わりの深さを示す「エンゲージセッション」という概念が導入されています。具体的には、10秒以上の滞在、コンバージョンの発生、2ページ以上の閲覧のいずれかを満たすセッションがエンゲージメントセッションとしてカウントされます。

エンゲージメント率:
全セッション数に対するエンゲージセッションの割合を示す指標です。この数値が高いほど、サイト訪問者が積極的にコンテンツと関わっていることを示します。コンテンツの質や目的によってエンゲージメント率は異なります。

コンバージョン:
サイト上でのゴールとなる行動のことです。BtoBサイトでは、問い合わせフォームの送信、資料ダウンロード、セミナー申込みなどが代表的なコンバージョンになります。GA4では、より柔軟にコンバージョンを設定できるようになりました。

BtoBサイトで見るべき主要指標

製造業のBtoBサイトでは、特に以下の指標に注目すると効果的です。

1. エンゲージメント時間:
単なるセッション時間ではなく、ユーザーが実際にコンテンツと関わっていた時間です。特に技術資料や製品仕様などの専門的なコンテンツでは、この指標が高いほど、訪問者がしっかりと内容を読み込んでいる可能性が高くなります。

2. ページ別エンゲージメント率:
どのページがユーザーの関心を引いているかを知るための重要な指標です。製品カタログページや技術資料ページなどで高いエンゲージメント率が見られれば、それらのコンテンツが訪問者のニーズに合致していると言えます。

3. イベント数(特定アクション):
技術資料のダウンロード数、動画の再生数、製品詳細の表示回数など、特定のアクションがどれだけ行われたかを示します。これらのイベントは、訪問者の関心度や行動パターンを理解する上で重要です。

GA4基本レポート「ページとスクリーン」の活用法

GA4には様々なレポートが用意されていますが、まずは「ページとスクリーン」レポートから始めるのがおすすめです。このレポートは、サイト内のどのページがどれだけ閲覧され、どのようなエンゲージメントを得ているかを一目で確認できます。

レポートへのアクセス方法:
GA4の管理画面左側メニューから「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を選択します。

主な確認ポイント:
表示回数と平均エンゲージメント時間:
単純にアクセス数が多いページだけでなく、エンゲージメント時間が長いページにも注目しましょう。例えば、製品詳細ページでエンゲージメント時間が長いなら、その製品への関心が高いと考えられます。

閲覧数の多いページとエンゲージメント時間の高いページの比較:
閲覧数は多いがエンゲージメント時間が短いページがあれば、そのページは訪問者の期待と合っていない可能性があります。逆に、閲覧数は少なくてもエンゲージメント時間が長いページは、より多くの訪問者に見てもらえるよう導線を工夫する価値があります。

より詳細な分析のための「探索」機能の活用

標準レポートでは確認できないエンゲージメント率などの指標を分析したい場合は、GA4の「探索」機能を活用しましょう。

1. 左メニューから「探索」→「空白」を選択
2. 「ディメンション」に「ページタイトルとスクリーン名」を追加
3. 「指標」に「表示回数」「エンゲージメント率」「アクティブユーザー」などの必要な指標を追加
4. ドラッグ&ドロップで行に「ページタイトルとスクリーン名」、値に各指標を配置
これにより、ページごとのエンゲージメント率などの詳細指標を含むカスタムレポートが作成でき、より深い分析が可能になります。

基本レポートで全体像を把握した後、「探索」機能で詳細分析を行うという段階的なアプローチが効果的です。次章では、これらのデータを実際にどう読み解き、改善につなげるかを架空の事例を用いて解説します。

実践解説:エンゲージメントデータの読み解き方

架空の製造業サイトレポートから見るユーザー行動とリード獲得の関係

それでは、架空の製造業「テクノ精工株式会社」のウェブサイトを例に、レポートを読み解いてみましょう。テクノ精工は産業用電子部品メーカーで、先月からホワイトペーパーのダウンロード施策を開始したばかりです。

レポートデータ(過去30日間)

ページタイトルページビュー平均エンゲージメント時間エンゲージメント率
トップページ2,50000:01:2045%
製品一覧ページ1,80000:02:1065%
製品A詳細ページ95000:03:4578%
製品B詳細ページ85000:01:3052%
製品C詳細ページ72000:00:4535%
技術資料ダウンロードページ65000:01:1560%
ホワイトペーパーダウンロードページ45000:02:3075%
会社概要ページ40000:01:0548%
お問い合わせページ32000:02:2070%

このデータから、どのような分析ができるでしょうか?以下のポイントに注目してみましょう。

1. エンゲージメント率の高いページの特徴

「製品A詳細ページ」と「ホワイトペーパーダウンロードページ」は、エンゲージメント率が特に高い(それぞれ78%と75%)ことがわかります。これは、これらのページを訪れたユーザーの多くが、しっかりとコンテンツを閲覧していることを示しています。

「製品A詳細ページ」の平均エンゲージメント時間は約3分45秒と非常に長く、ユーザーが製品情報を詳しく確認していることがわかります。この製品は訪問者の関心が特に高いと言えるでしょう。

対照的に「製品C詳細ページ」は、エンゲージメント率が35%と低く、平均滞在時間も45秒と短いことから、ユーザーの期待に応えられていない可能性があります。コンテンツの見直しが必要かもしれません。

2. 各ページの役割と効果

「製品一覧ページ」のエンゲージメント率は65%と比較的高く、ユーザーが製品情報を閲覧する主要な入り口として機能していることがわかります。 「ホワイトペーパーダウンロードページ」は、アクセス数は多くないものの、エンゲージメント率と滞在時間が高いことから、訪問者の関心を強く引くコンテンツであることがわかります。

データから導き出す改善ポイントと具体的施策

このレポートデータから、テクノ精工のマーケティング担当者はどのような改善施策を考えるべきでしょうか?

製品Cページの改善

「製品C詳細ページ」はエンゲージメント率が35%と低く、ユーザーが期待する情報が十分に提供されていない可能性があります。以下の改善を検討しましょう:

  • 具体的な技術仕様や特長をより詳しく記載する
  • 導入事例や活用シーンの追加
  • 図表や画像を増やし、視覚的な理解を助ける
  • 関連する技術資料やホワイトペーパーへのリンクを強化する

ホワイトペーパーの活用強化

「ホワイトペーパーダウンロードページ」のエンゲージメント率は75%と高く、訪問者の関心を引いています。しかし、ページビュー数が450と比較的少ないことから、より多くのユーザーをこのページに誘導する施策が有効でしょう:

  • トップページや製品詳細ページからのバナーリンクを設置
  • 関連する製品ページからのリンクを増やす
  • メールマガジンやSNSでホワイトペーパーを積極的に紹介する
  • 各製品ページからの導線を強化する

このように、GA4のレポートを活用することで、サイト訪問者の行動パターンやコンテンツの効果を読み解き、具体的な改善施策を導き出すことができます。エンゲージメント指標に注目することで、単純なアクセス数だけでは見えなかったユーザーの関心や行動の傾向を把握し、より効果的なマーケティング施策につなげることが可能です。

まずは自社サイトでGA4のレポートを確認し、エンゲージメント率の高いページと低いページを比較してみましょう。そこから見えてくる改善ポイントを1つずつ実施していくことで、BtoBサイトの効果を着実に高めていくことができます。

TMCデジタルはBtoBサイトのアクセス解析と効果測定をトータルでサポートいたします

TMCデジタルは、BtoB企業を中心に様々な業界の企業のウェブサイトのアクセス解析と効果測定を支援してきた実績があります。製造業特有の長い購買サイクルと複雑な顧客行動パターンを理解し、エンゲージメント指標を活用したデータ分析のノウハウを活かして、お客様の事業目標達成に貢献します。

TMCデジタルは、効果的なアクセス解析と改善に必要な様々なスキルを持つプロフェッショナル集団です。GA4の設定と活用、エンゲージメント分析、ユーザー行動の可視化、改善施策の立案・実施など、データドリブンなウェブサイト改善のあらゆる分野のエキスパートがそろっています。

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