製造業・メーカーに採用サイトは必要なの?制作する意味やデメリットを紹介!
国内の製造業を取り巻く環境は、急速なデジタル化と深刻な労働力不足という二極の課題に直面しています。経済産業省が発行した「2025年版ものづくり白書」によると、製造業の新規学卒者数は2013年から2020年まで増加傾向で推移していましたが、2023年は約13万人と前年より約1.2万人減ったというデータがあります。特に技能継承を担う若手人材の確保は急務です。
このような状況下で、従来の求人媒体だけに頼る採用手法は限界を迎えつつあり、自社独自の「採用サイト」を核とした採用戦略(ダイレクトリクルーティング)への転換が求められています。
本記事では、なぜ今、製造業が独自の採用サイトを持つべきなのか、そのメリットとデメリット、そして作らない方が良い企業の特徴について、統計データを交えて詳しく解説します。
なぜ今、製造業でも採用サイトの重要性が高まっているのか

かつての製造業の採用は、ハローワークや大手求人ナビサイトへの掲載、あるいは地域コミュニティでの縁故採用が主流でした。しかし、情報収集の主戦場がスマートフォンやSNSに移行した現代、求職者の行動様式は劇的に変化しています。
その背景には、求職者の情報収集行動が大きく変化したことがあります。今の求職者は、求人票だけで応募を決めることはほとんどありません。企業名を検索し、公式サイトや採用サイトを見たうえで、「この会社で本当に働くイメージが持てるか」「自分に合いそうか」を慎重に判断しています。
ここからは、製造業で採用サイトが注目されるようになった具体的な理由を整理していきます。
理由1. 求職者の9割以上が企業の採用サイトを見ている
求職者が企業に応募するまでのプロセスにおいて、企業の公式サイトや採用サイトは「最終的な意思決定」を左右する重要な役割を担っています。株式会社キャリタスが実施した調査によれば、求職者が就職活動中に企業の採用サイトを閲覧した割合は「かなり目を通した」が7割弱(67.9%)、「目を通した」が3割弱(28.3%)で合計96.2%に上るというデータがあります。
求人媒体の定型フォーマットでは伝えきれない「職場のリアルな雰囲気」や「具体的な仕事の難しさ・面白さ」を自社サイトで補完することは、求職者の不安を払拭し、応募への心理的ハードルを下げるために極めて有効です。公式サイトの有無や内容の充実は、そのまま「企業の信頼性」として評価される時代になっています。
参考:2025年卒 採用ホームページに関する調査|株式会社キャリタス
理由2. 業界全体の人材不足による採用競争の激化
製造業における人材不足は、もはや一企業の努力だけでは解決できない構造的な問題となっています。厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和7年11月分)」によると、生産工程の職業における有効求人倍率は1.55倍に達し、全職業平均を上回る「売り手市場」が続いています。
特に地方の製造業や中小規模のメーカーにおいては、大手企業との人材獲得競争にさらされており、条件面(給与や休日数)だけで対抗するのは困難です。
採用サイトを通じて、自社独自の技術力、地域社会への貢献、あるいは「少人数だからこそ若手が活躍できる環境」といった独自の価値「従業員価値提供」(EVP:Employer Value Proposition)を言語化しターゲットに直接届けることが、競争を勝ち抜く数少ない手段です。
参考:一般職業紹介状況(令和7年11月分)について|厚生労働省
理由3. 採用ミスマッチの防止につながる

入社後の早期離職は、製造業にとって大きな損失です。採用コストだけでなく、教育に費やした時間や労力が無に帰すため、経営への打撃は計り知れません。
厚生労働省の令和7年の統計によると、新規高卒就職者の製造業における3年以内離職率は約28.6%でした。その主な理由として挙げられたのは「仕事内容の不一致」です。
採用サイト内で、実際の製造ラインを動画で公開したり、現場スタッフのリアルな声を掲載したりすることで、求職者は入社後の作業環境や人間関係を具体的にイメージできます。適性のない層の応募をフィルタリングし、定着率の高い人材を獲得するには、あえて「地道な作業の連続であること」や「専門知識の習得に時間を要すること」などのリアルな情報を提示する(RJP:現実的職務の事前開示)取り組みが重要です。
参考:新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
理由4. 潜在層へのアプローチに有効
現在は転職を考えていないものの、良い機会があれば検討したいと考えている「潜在層」へのアプローチとしても、採用サイトは強力なツールとなります。検索エンジン(SEO)やSNSを通じて、自社の技術開発の裏側や社会貢献に関するコンテンツを発信し続けることで、将来的な候補者リストを形成することができます。
特に「ものづくり」に興味を持つ若年層や技術者は、日頃からウェブ上で情報を収集しています。そうした層に向けて、専門的な技術解説や最新設備の導入事例などを採用サイト内に蓄積しておけば、企業への理解や共感が自然と深まります。その結果、広告費に大きく依存せずとも自社のファンが増え、必要なタイミングで応募につながる「プル型」の採用基盤を形成しやすくなります。
製造業・メーカーが採用サイトを持つことのデメリット

採用サイトには多くのメリットがある反面、運用方法を誤ると逆効果になるリスクも孕んでいます。特にリソースが限られている中小メーカーにとっては、以下のデメリットを十分に検討する必要があります。
デメリット1. 定期的に更新しないと情報が陳腐化する
ウェブサイトは「企業の顔」であり、情報の鮮度がそのまま企業の活力として評価されます。数年前の古い社員インタビューがトップに居座っていたり、募集要項の更新が止まっていたりするサイトは、求職者に「この会社は管理体制が杜撰なのではないか」「採用に意欲がないのではないか」という不信感を与えます。
一度構築したサイトを維持・更新するためには、専任の担当者を置くか、外部のパートナーと連携する体制を整えなければなりません。この継続的な管理工数とコストは、採用サイトを所有する上での最大の「維持費」となります。
デメリット2. 掲載する情報が現場実態と乖離しやすい

採用サイトを制作する際、ブランディングを意識するあまり、プロのカメラマンが撮影した「綺麗すぎる写真」や、コピーライターによる「美辞麗句」ばかりを並べてしまうケースがあります。しかし、実際の現場がそれと大きく異なる場合、入社後のギャップが不満に変わり、結果として離職を加速させる要因となりかねません。
特に製造現場では、騒音や温度管理、油の匂いなど、五感に訴える要素が多いため、視覚情報だけの美化は危険です。いかに「加工されていない真実」を、魅力的に、かつ誠実に伝えるかというバランス調整は、制作側と現場側の緊密な連携が求められる高度な作業です。
デメリット3. スタッフ情報が充実し過ぎると、引き抜きリスクが高まる
「人」の魅力を伝えるために、熟練の技能工や優秀なエンジニアの実名、顔写真、詳細な経歴を公開することは、採用においては非常に有効です。しかし、これは競合他社や人材紹介会社に対して、自社のキーマンを特定させる情報を提供している状態でもあります。
特にニッチな分野で世界的なシェアを持つメーカーなど、特定の技術を持つ人材が限られている業界では、注意が必要です。採用サイトを見たヘッドハンターからのアプローチが増え、意図せぬ人材流出を招く懸念があります。掲載する情報の詳細度については、個人のプライバシー保護とあわせて、戦略的な判断が必要です。
失敗している製造業の採用サイトに共通する特徴

予算をかけてサイトを作ったものの、応募が全く来ない、あるいは質の低い応募ばかりが集まるサイトには、いくつかの典型的な失敗パターンが存在します。ここでは、代表的な4つのパターンを紹介します。
特徴1. 更新されている形跡がなく、情報が古い
前述の通り、情報の鮮度は信頼性に直結します。例えば、サイト内の「ニュース」欄が「ホームページを開設しました」という数年前の投稿で止まっているような状態は、求職者にとって「活動実態が見えない企業」という印象を与えます。デジタルネイティブ世代は、情報の更新頻度から企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み姿勢すらも推察しています。
特徴2. 良いことしか記載がなく、現実味がない

「誰もが活躍できるアットホームな職場」「やりがい100%」といった、具体性に欠けるポジティブな言葉のみで構成されたサイトは、かえって疑念を抱かせます。株式会社クレオが1,010人に実施した「就活生の企業選びにおける本音調査」において、「就活情報サイト・企業の採用サイトを見た際に『情報が足りない』と感じたことはあるか」という質問に対し、約8割が『ある』と回答しています。
失敗事例や過去の離職理由への対策など、負の情報も誠実に開示しているサイトの方が、結果として入社意欲の高い人材を引き寄せる可能性が高まるのです。
参考:【1,010人の就活インサイトを大調査】約8割が企業の採用情報に“不十分さ”を指摘 | 株式会社クレオのプレスリリース
特徴3. 他の製造業との差別化ができていない

「高品質な製品」「伝統の技術」「社会への貢献」といったフレーズは、多くの製造業が使用しており、求職者にとってはどの企業も同じように見えてしまいます。具体的な差別化ができていないサイトは、比較検討の土俵で脱落してしまいます。
差別化に効果的な情報は、自社の製造ラインのどの部分に独自性があるのか、他社にはない特許技術は何か、あるいは「残業時間が月平均5時間以下」といった強みの部分です。外部に提示できるような数値・情報あれば、積極的に採用サイトに掲載してみましょう。
特徴4. 仕事内容が抽象的で、製造現場のイメージが湧かない
製造業未経験者もターゲットにする場合、「機械オペレーター」「品質管理」といった職種名だけでは、具体的に何をするのかが伝わりません。「1分間に〇個の製品を検品する」「高さ3メートルの大型旋盤を操作する」といった、作業の規模感や難易度を具体的に記述する必要があります。
特に問題なのは、仕事内容をぼかしたまま採用してしまうケースです。入社後に「思っていたより単調だった」、「想像以上に体力的にきつかった」、「専門知識が必要でついていけなかった」、と感じた場合、その時点でミスマッチは確定します。この状態では、いくら待遇や人間関係が良くても、早期離職を防ぐことは困難です。現場で働く姿を想像できない企業は、応募者を集める以前に、無意識のうちにふるい落としている状態だと言えるでしょう。
採用サイトを作らない方がいい・失敗しやすい企業の共通点3選

自社採用サイトは、万能な特効薬ではありません。企業のフェーズや体制によっては、あえてサイトを作らない、あるいは既存の求人プラットフォームの活用に留める方が賢明な場合もあります。ここでは、採用サイトの制作を慎重に検討すべき企業の共通点を3つ紹介します。
共通点1. 採用サイトを「一度作って終わり」にするつもり
採用サイトは、公開した瞬間から成果が出るものではありません。公開後のデータ分析と改善(PDCA)を回すことで初めて成果が出ます。「デザインが完成したから満足」という姿勢の企業は、次第に検索順位が下がり、誰にも見られないサイトへと埋没していきます。
それにもかかわらず、「デザインが完成したから」「とりあえず形ができたから」といった理由で満足してしまう企業は少なくありません。こうした企業では、更新が止まり、情報は徐々に陳腐化し、検索順位も下落していきます。その結果、誰にも見られない採用サイトが出来上がります。
運用のための予算や人員を確保できないのであれば、制作費用は無駄なコストに終わる可能性が高いでしょう。
共通点2. 採用後の受け入れ体制が整っていない

サイトを通じて優秀な人材を惹きつけることができても、現場の教育体制(OJT)やキャリアステップ、福利厚生が整っていない場合、入社直後の早期離職につながってしまいます。
採用サイトはあくまで「集客」の入り口に過ぎません。その後の「定着」を担保するのは社内の制度と文化です。入口だけを立派に整えても、中に入った瞬間に「話が違う」と感じさせてしまえば、企業への信頼は一気に失われます。器(サイト)を作る前に、中身(受け入れ環境)を磨き上げることが先決です。
共通点3. 実態以上にホワイトな職場に見せようとしている
実態以上にホワイトな職場であるかのように演出する採用サイトは、結果的に採用の失敗確率を高めます。短期的には応募数が増えたとしても、入社後のギャップが大きくなり、早期離職や悪評につながりやすいためです。
現代の求職者は、採用サイトの内容に違和感を覚えれば、口コミサイトやSNSで実態を確認し、そこで語られている現場の声と照らし合わせます。採用サイト上の表現と実情に乖離があれば、その時点で不信感を持たれ、「話が違う会社」という評価が形成されてしまいます。
それにもかかわらず、「残業ほぼなし」「風通しの良い職場」「若手が活躍」といった表現を並べ、職場を過度にホワイトに見せようとする採用サイトは少なくありません。実像を正確に伝えないイメージ戦略は、応募数を一時的に増やせても、長期的には採用の質を下げ、企業全体の信頼を損なうリスクがあることを理解しておく必要があります。
まとめ|製造業の採用サイトは「作ること」より「運用できるか」で判断しよう。採用サイトのご相談はTMCデジタルへ!

製造業における採用活動は、もはや「待てば来る」時代ではありません。自社の真の価値を定義し、それを適切なデジタルツールで発信し続ける継続性が求められています。
- 求職者の約9割が応募前に採用サイトをチェックしているという現実
- 生産工程職の有効求人倍率1.55倍という激しい人材獲得競争
- 採用ミスマッチによる年間数千万単位の損失リスク
これらを解決するための強力なソリューションが「戦略的な採用サイト」です。しかし、重要なのは「豪華なサイトを作ること」ではなく、「事実に基づいた情報を発信し、運用し続けられるか」という点に集約されます。
採用サイトの制作に関する課題をお持ちではありませんか。案件獲得、そして人材獲得の両面から御社のデジタル戦略を支えるパートナーとして、ぜひTMCデジタルへご相談ください。製造業特有の採用課題を理解したプロが、企業の「強み」を正しく伝えるサポートをさせていただきます。

