WEB集客 2025年12月25日

製造業ホームページで問い合わせが増えない原因と対策|GA4診断から改善まで

月間1,000PV以上のアクセスがあるのに、実際の問い合わせは月2〜3件。GA4のデータは見ているが、どこを改善すればいいのかわからない。こんなお悩みをお持ちではないでしょうか。

製造業BtoBサイトの平均コンバージョン率は0.5〜2%が妥当と言われています。つまり、月間1,000PVなら5〜20件の問い合わせがある計算であり、それ以下の場合は、流入施策やサイト構造に改善の余地がある可能性があります。

この記事では、製造業のホームページ運用ご担当者様、経営者様向けにGA4を活用した現状診断から改善策の立案まで初心者向けに解説します。

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まずはGA4で現状診断|3つの重要指標をチェック

問い合わせが増えない原因の特定は、GA4で現状を数値化することから始めます。これによりサイトの「入口」「滞在」「出口」の3段階でユーザー行動を可視化できます。

以下の主要な指標3つを確認すれば、ユーザーがサイトに関心を持っているか、期待に応えられているか、信頼を獲得できているかが把握できます。

1. 入口:エンゲージメント率(サイトに関心を持ったか)
2. 滞在:平均エンゲージメント時間(コンテンツを読んだか)
3. 出口:コンバージョン率(問い合わせに至ったか)

エンゲージメント率

エンゲージメント率は、ユーザーがサイトに関心を持って行動した割合であり、「入口」の健全性を表す指標です。以下のいずれかを満たすと「エンゲージメントあり」とカウントされます。

  • 10秒以上サイトに滞在
  • 2ページ以上閲覧
  • コンバージョン(問い合わせ・資料請求など)が発生

エンゲージメント率が50%以上であれば、訪問者の過半数にサイトをよく読まれていると判断できますが、数値が低いと離脱が多い状態と読み取ることができます。

※エンゲージメント率が50%以上であれば良好な傾向ですが、業界やページ内容によって変動します。

【確認方法】
GA4 > レポート > ライフサイクル > 集客 > トラフィック獲得 > 「エンゲージメント率」

平均エンゲージメント時間

平均エンゲージメント時間は、ユーザーがサイトをアクティブに閲覧していた時間であり、「滞在」の健全性を表す指標です(バックグラウンドでタブを開いているだけの時間は除外されます)。

製造業BtoBサイトでは技術情報や導入事例などのページでじっくり情報を読むユーザーが多いため、一定の滞在時間が期待されます。主要ページ(技術情報や事例ページ)で平均エンゲージメント時間が1分未満の場合は要注意です。

【確認方法】
GA4 > レポート > エンゲージメント > エンゲージメントの概要 > 「平均エンゲージメント時間」※各ページの平均エンゲージメント時間は、エンゲージメント>ページとスクリーンで確認できます。

コンバージョン率(CV率)

コンバージョン率(CVR)は、サイト訪問者のうち問い合わせなどの目標行動を起こした割合であり、「出口」の健全性を表す指標です。

冒頭でも説明しましたが、製造業BtoBサイトの目安は0.5〜2%であり、CV率が0.5%未満の場合は、改善の余地がある可能性が高いです。また、CV率の低さは、フォーム(出口)だけでなく、ターゲット(入口)のズレや、信頼不足(滞在)といったサイト全体の課題が積み重なった結果であることが多いため、全体的な見直しによって改善が必要な場合があります。

【確認方法】
例として、お問い合わせフォームの送信を「イベント」として登録するケースで説明します。
1. GA4 > 管理 > イベントを作成

2. イベント名、データストリーム、トリガー、URLを設定

3. GA4 > レポート > ライフサイクル > エンゲージメント > イベント で数値確認

GA4の詳しい活用方法については、製造業BtoBサイトで実践するGA4アクセス解析入門も参考になります。

問い合わせが増えない7つの原因

GA4で現状を数値化し、改善すべき状態であれば、次は原因を特定します。製造業ホームページで問い合わせが増えない原因は以下の7つに分類できます。以下の表で、GA4診断結果に対応する原因を確認してください。

診断結果対応する原因
入口の問題
(エンゲージメント率 <50%)
原因① ターゲット設定が曖昧
原因⑤ スマホ対応が不十分
滞在の問題
(平均エンゲージメント時間 <1分)
原因② 顧客メリットが伝わっていない
原因③ 導入事例・実績の不足
原因⑥ 信頼獲得要素の不足
出口の問題
(コンバージョン率 <0.5%)
原因④ 問い合わせフォームが不適切
原因⑦ CTAのハードルが高い

原因① ターゲット設定が曖昧

ターゲットが曖昧であると、問い合わせに繋がらないユーザーばかりが流入します。例えば、「精密加工」のような広範な検索ではなく、「自動車部品 精密加工 大阪 短納期」のように具体的であれば、発注を検討しているユーザーの問い合わせ率が高まります。

原因② 顧客メリットが伝わっていない

製造業のホームページでは、高い技術力を示すために専門的な技術仕様を詳しく記載します。これは信頼性の証明として重要ですが、それだけでは問い合わせに繋がりません。顧客が知りたいのは「その技術で自社の課題がどう解決されるか」だからです。技術仕様と併せて、その技術が顧客にどんなメリットをもたらすのかを明確に伝えることが重要です。

原因③ 導入事例・実績の不足

BtoBの購買判断では、「類似事例の有無」が購買の可否を大きく左右すると言われています。特に製造業では、自社と同じ業界や課題を抱えた企業の事例がないと、ユーザーは「本当に自分の課題を解決できるのか」を判断できず、問い合わせを躊躇します。

原因④ 問い合わせフォームが不適切

製品ページを読んで、「問い合わせしたい」と思ったタイミングで、問い合わせボタンがすぐに見つからなければ、ユーザーは問い合わせを諦めてしまいます。

また、製造業BtoBでは問い合わせのハードルが高いため、フォームの入力項目が多すぎると離脱率が急上昇します。検討段階のユーザーに対して詳細な情報を求めすぎると、「まだそこまで決めていない」と感じ、フォーム入力を中断してしまいます。

原因⑤ スマホ対応が不十分

製造業BtoBサイトでも、スマホからの閲覧が多くなってきています。現場の担当者が移動中や工場内で情報収集することも多く、スマホ対応は必須です。

文字が小さくて読みにくい、ボタンが押しにくい、ページの読み込みが遅いといった問題があると、ユーザーは即座に離脱します。特に製造業では技術情報や仕様が複雑なため、スマホでも快適に閲覧できる設計が求められます。

原因⑥ 信頼獲得要素の不足

製造業BtoBでは、発注先の選定において「技術力」と「信頼性」が前提条件となります。いくらサービス内容が良くても、ISO認証、受賞歴、主要取引先、保有設備といった信頼を裏付ける情報がサイトに明記されていないと、ユーザーは「本当に納期を守れるのか」「品質は大丈夫か」と不安を感じ、問い合わせを躊躇します。

原因⑦ CTAのハードルが高い

製造業BtoBでは、ユーザーの検討段階が幅広く、「今すぐ発注したい」という人から「まだ情報収集中」という人まで様々です。しかし、多くのサイトでは「問い合わせ」という1つのCTAしか用意されていません。

「まだ検討段階」のユーザーに「今すぐお問い合わせ」というCTAだけを提示しても、ハードルが高すぎて行動に至らず、問い合わせの機会を逃してしまいます。

「技術資料の無料ダウンロード」「加工事例集を見る」「サンプル請求」など、ユーザーの検討度合いに合わせた複数のCTAを用意することで、ユーザーの検討段階に応じた行動を促し、結果的にコンバージョン率の向上につながる可能性があります。

例えば、情報収集中のユーザーには『技術資料ダウンロード』、比較検討中のユーザーには『事例集を見る』、発注直前のユーザーには『今すぐお問い合わせ』といった複数のCTAを設置することで、離脱を防ぎ、全体のCV率改善に寄与するケースが多く報告されています。

問い合わせを増やすための具体的な改善策

原因を特定したら、次は優先度の高いものから改善に取り組みます。ここでは、各原因に対する具体的な改善策を解説します。

改善策① ターゲット設定を明確にする

まず、自社が最も貢献できる顧客像を明確にします。

  • どの業種か(自動車部品、医療機器、半導体など)
  • どんな加工方法か(精密加工、切削加工、プレス加工など)
  • どの地域か(大阪、関西、全国など)
  • どんな特徴があるか(短納期、小ロット、高精度など)

これらの要素を組み合わせることで、問い合わせに繋がりやすい具体的なキーワードが作成できます。

キーワード作成の例:
自動車部品 精密加工 大阪 短納期
医療機器 金属加工 小ロット 高精度
半導体部品 プレス加工 関西 試作対応

これらのキーワードを各ページの見出し(H1・H2)やメタディスクリプションに自然に含めることで、ターゲットユーザーに「このサイトは自分のためのものだ」と素早く伝えることができます。

改善策② 技術仕様を顧客メリットで説明する

技術仕様だけを並べるのではなく、「その技術が顧客の課題をどう解決するのか」を明確に伝えます。

Before(技術仕様中心)After(顧客メリット中心)
NC旋盤による高精度加工(公差±0.01mm)公差±0.01mmの高精度加工で、不良率を大幅に削減
最新の5軸マシニングセンタ保有5軸加工により、複雑形状部品も一度の加工で完成。納期を大幅に短縮
ISO 9001認証取得済みISO 9001の品質管理体制で、安定した品質を保証

書き方のポイント:

  • 技術 + 顧客メリットをセットで記載
  • 具体的な表現(削減、短縮など)を入れる
  • その技術で顧客の課題がどう解決するのかを意識して書く

改善策③ 業種別・課題別の事例ページを作成

サイト内に類似事例がないと、ユーザーは「この会社は自社の課題を解決できるのか」を判断できず、離脱してしまいます。ターゲットとなる業種別・課題別に整理された事例ページを充実させることが、信頼獲得への近道です。

効果的な事例の書き方:

  • 業種を明記: 「自動車部品メーカー様」「医療機器メーカー様」など
  • 課題を具体的に: 「納期遅延が頻発」「不良率が高い」など
  • 成果を記載: 「納期を短縮」「不良率を削減」など

事例ページの構成例:
タイトル:樹脂成形メーカー様|AIカメラ導入による目視検査の自動化事例

【課題】
全数目視検査が工程のボトルネックとなり、生産スピードを上げられない状況にありました。特に、集中力が削がれる時間帯の「微細なバリの見落とし」が多発し、不良率の低下と納期遵守の両立が大きな課題となっていました。

【解決策】
自社の検査ノウハウを学習させた「AI画像識別カメラ」をライン末端に設置。あわせて、良品・不良品を物理的に振り分ける「選別シュート」をラインに組み込み、判定から排出までを自動化しました。

【成果】
品質の安定: 判定ミスが消え、顧客への納品品質が劇的に向上
納期の短縮: 検査スピードが向上し、後工程への供給がスムーズに
生産性の向上: 検査員2名を前工程へ配置転換し、工場全体の生産能力がアップ

最低でも3業種以上の事例を用意し、ユーザーが「自社の課題に近い事例」にすぐ辿り着ける動線を作ることが重要です。

改善策④ 問い合わせフォームを最適化する

フォームの入力項目が多すぎると、ユーザーは「面倒だ」と感じて離脱します。必須項目は極力絞り、問い合わせのハードルを下げます。

最適なフォーム設計:

  • 必須項目は極力絞る: 会社名、担当者名、メールアドレスなど
  • 任意項目を活用: 電話番号、予算、希望納期などは任意に
  • 入力例を表示: 入力欄に「例: 株式会社〇〇」と示す

問い合わせボタンの配置:

  • 全ページに設置: ヘッダーへの固定や画面隅への追従(フローティング)を行い、常に連絡できる状態にします。
  • ページ内に分散配置: 縦に長いページでは、冒頭・中間・末尾など、内容の節目にボタンを設置します。
  • 目立つデザイン: 背景と対比する色を使い、スクロール中でもパッと目に付く視認性を確保します。

改善策⑤ スマホ対応を徹底する

製造業BtoBサイトでも、スマホからの閲覧が増えています。スマホで快適に閲覧できる設計が必要です。

スマホ対応の基本:

  • レスポンシブデザイン: 画面サイズに応じて自動的にレイアウトが調整される
  • 文字サイズ: 最低16px以上(小さすぎると読みにくい)
  • ボタンサイズ: 最低44px×44px以上(タップしやすいサイズ)
  • 余白の確保: ボタンやリンクの周囲に十分な余白を設ける

チェック方法:
1. PageSpeed Insights(Google公式ツール)にアクセスする。
2. 調べたい自分のサイトのURLを貼り付けて「分析」ボタンを押す
3. 結果画面の左上にある「携帯電話(モバイル)」タブを選択する

PageSpeed Insightsの診断結果

改善策⑥ 信頼要素を可視化する

製造業BtoBでは、技術力と信頼性の証明が問い合わせの前提条件です。信頼を裏付ける情報をサイト上で明確に提示します。

必須の信頼要素:

  • ISO認証、受賞歴、主要取引先(掲載許可があれば)、保有設備(具体名・台数)

効果的な配置場所:

  • トップページ: ファーストビューまたは会社概要セクション
  • 会社概要ページ: 詳細な認証情報、沿革、設備一覧
  • フッター: ISO認証マークなどを全ページに表示

改善策⑦ 検討段階別のCTAを設計する

ユーザーの検討段階に応じた複数のCTAを用意します。ホワイトペーパーの用意が今すぐには難しいという場合は、技術資料をダウンロードできるように設置することから始めてみましょう。

検討段階CTA例ハードル
情報収集中技術資料を無料ダウンロード
比較検討中加工事例集を見る
具体的に検討サンプル品を請求する
発注直前今すぐお問い合わせ

まとめ

製造業ホームページで問い合わせを増やす鍵は、デザインの良し悪しではなく、「GA4による状態の数値化」と「顧客目線の導線設計」にあります。

まずは以下の3ステップで改善を進めてください。

  1. 1. GA4で弱点を特定する:目安(CV率0.5%〜、エンゲージメント率50%〜、滞在1分〜)を下回る場合は、集客ターゲットやコンテンツの質を見直すサインです。
  2. 2. 「顧客が知りたい情報」を揃える:技術仕様を「顧客メリット」へ言い換え、ターゲットに刺さる「導入事例」を充実させます。
  3. 3. 「問合せのしやすさ」を設計する:スマホ対応、追従ボタンの設置、フォームの簡素化を行い、ユーザーの心理的・物理的な壁を取り除きます。

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