製造業のホームページ制作で失敗しないために。リニューアルのポイントと制作会社の選び方
製造業の経営者や営業・マーケティング担当者のなかには、「ホームページが古く、自社の技術力や強みが伝わっていない」「資料請求や問い合わせが増えず、営業につながらない」といった課題を感じている方もいるのではないでしょうか。
製造業のホームページは、顧客との接点を創出する有力なツールになります。十分な成果につながっていない場合には、コンテンツやデザインのリニューアルを行うことが重要です。
この記事では、製造業のホームページが担う役割やよくある失敗例、リニューアルを行うときのポイント、制作会社の選び方などを分かりやすく解説します。
製造業のホームページが担う役割
製造業のホームページは、単なる会社案内ではありません。インターネットが普及した現代において、新たなビジネスチャンスを生み出すための有力な営業支援ツール・マーケティングツールとしての役割を担っています。
企業や製品の認知向上
オンラインによる情報収集が主流になるなか、ホームページには企業や製品の認知を向上させる役割があります。
ホームページを介して企業や製品に関する情報を発信することで、Web検索を通じてターゲットとの接点を増やすことができ、より多くの人に知ってもらえるようになります。
これにより、業界内での自社の知名度が向上したり、リード（見込み顧客）獲得のきっかけを創出したりする効果が期待できます。
技術力や品質の可視化
自社の技術力や品質を客観的に示すことも製造業におけるホームページの役割の一つです。
導入設備・加工精度・独自技術・検査体制などの専門性の高い情報を分かりやすく伝えたり、認証取得や実績などをアピールしたりすることで、自社の信頼性を高められます。
また、図解・動画・データなどを用いて視覚化することで、深い技術理解を促せます。課題やニーズが顕在化しているターゲットに対して、判断材料となる詳細な情報を提供できれば、本格検討の段階に引き上げられる可能性が期待できます。
検索経由でのリード獲得
製造業のホームページは、リード獲得のための重要な経路となります。ホームページ内のコンテンツを通じて、自社の強みや実績などをターゲットへ積極的にアピールすることで、興味関心を持ってもらえる可能性があります。
また、ホームページ内に「技術相談」「資料請求」「Web見積もり」などのフォームを設置して検討段階に応じたアクションを促すことで、見込み顧客の基本情報を取得できます。これにより、商談機会の獲得につなげられます。
ブランドの構築
製造業が持続的な成長を目指すためには、競合他社との差別化を図り、自社のブランド価値を高めることが重要です。ホームページは、企業の理念・ビジョンや強み、製品のコンセプトなどを広く発信する場となり、ブランド構築において重要な役割があります。
製品や技術に関する情報だけでなく、「どのような価値を提供できるのか」「社会や地域にどのように貢献するのか」を発信し続けることで、企業イメージや信頼の向上につながります。自社のブランド価値を高めることは、市場競争力の強化に結びつくほか、優秀な人材の確保にもつながると期待されます。
製造業のホームページによくある失敗例
製造業のホームページで「なかなか問い合わせが増えない」という場合には、作り手目線の制作になっており「ターゲットが知りたい情報」と「提供する情報」がずれている可能性があります。
よくある失敗例には、以下が挙げられます。
■更新されていない
実績やお知らせ、新着情報などが更新されていないと、会社としての信用度が低下してネガティブな印象を与えてしまう。
■製品情報を一覧化しているだけで何ができるか分からない
製品名や型番を羅列するだけでは、「課題をどう解決できるのか」「どのような加工精度や素材に対応できるのか」といった具体的な価値が伝わらず、アクションにつながらない。
■実績や受注事例が少ない
顧客が「自社の要望に対してどこまで対応できるのか」を見極めるための情報が少なく、検討の初期段階で離脱されてしまう可能性がある。
■図・イラストが少なく情報が分かりにくい
専門性の高い技術や複雑な加工プロセスを文字だけで説明すると、技術者以外の担当者が内容を理解できなかったり、最後まで読むことを諦めてしまったりする。
■専門性のある情報が少ない
特殊な技術や品質の高さ、独自のノウハウなどが伝わらず、技術者向けに自社の価値を伝えられない。競合他社との明確な差別化ができていない。
■サイト内の導線がわかりくい
購買担当者・技術者などのターゲットの区分に応じた導線が整理されておらず、目的の情報にたどり着くまでに時間がかかるため、途中で離脱されてしまう。
■デザインが古い印象がある
「経営体制や価値観が古いのではないか」「最新やトレンドの技術を取り扱っていない」という印象を招き、企業の信頼性にも影響を及ぼしてしまう。
上記のようなホームページは、集客ができても次のアクションにつながりにくいため、機会損失の原因となっている可能性があります。認知向上やリード獲得を目指すには、リニューアルが必要といえます。
製造業のホームページをリニューアルする4つのポイント
製造業のホームページをリニューアルする際は、ターゲットが持つ課題・ニーズを踏まえたうえで戦略的にコンテンツや導線、デザインを設計することが重要です。
➀ニーズに沿ったコンテンツを充実させる
ホームページに訪れたユーザーが求める情報を網羅的に提供できるように、ニーズに沿ったコンテンツを充実させることが必要です。
既に具体的な解決策を探している人だけでなく、「課題はあるものの、何をすべきかはっきりとしていない」といった潜在的なニーズを持つ人にも見てもらえるように、検討段階のプロセスに応じたコンテンツを用意します。
▼製造業のホームページに効果的なコンテンツの例
- 課題別の解決策の提示
- 写真や図面を使った製品紹介
- 品質管理体制
- ストーリー型の導入事例
- カテゴリ別の開発事例
- 開発や納入プロセスのイメージ
- 取得している認証 など
これらのコンテンツを制作する際は、専門用語は極力使用せず、ユーザーにとって理解しやすいページ作りを行うこともポイントです。
②コンテンツの配置や導線を最適化する
コンテンツが充実していても「どこに何の情報が記載されているか」が一目で分かりにくいホームページは、訪れたユーザーの離脱や滞在時間の減少を招きます。これはリード獲得の機会を逃してしまう要因となります。
ホームページに訪れた人が目的の情報にアクセスしやすいように、コンテンツの配置や問い合わせページへの経路・動線などを見直すことが必要です。
▼コンテンツの配置や導線設計のポイント
- サイト上部にナビゲーション（メニュー表示）を設置する
- 次のアクションに誘導するためのCTAボタンを目立つ位置に設置する
- どのページからでも移動できるようにサイト下部にフッターを設置する
- 関連する製品情報やページに移動できる内部リンクを設置する
③企業理念や製品の魅力が伝わるデザインにする
ホームページのデザインは、訪れたユーザーの第一印象を決定づける要素となります。
製造業のブランドイメージや信頼性に影響するため、洗練された印象になるようにするとともに、自社の独自性が直感的に伝わる魅力的なデザインにすることが重要です。
▼デザイン設計のポイント
- コーポレートカラーやロゴのカラーを取り入れて配色する
- 実際の製品画像や加工現場の動画をトップページに表示する
- 企業理念や提供価値を一言で表現したキャッチコピーを配置する
④なるべく社内で更新ができる体制を構築する
製品情報や技術、市場の動きは変化していくため、リニューアル後も定期的な更新が必要になります。ITに関する専門的な知識・技術を持たない従業員でも、簡単に更新できる体制を構築しておくことが重要です。
▼社内更新ができる体制を構築するポイント
- CMS（コンテンツマネジメントシステム）を導入する
- 更新作業の操作方法をまとめたマニュアルを作成する
- 製品のパンフレットや仕様書、技術資料などに関するデータを一元管理する
製造業のホームページ制作を依頼する前の準備
製造業のホームページ制作において「思っていたものと違った」とならないように、制作会社との認識を統一することが必要です。発注者側が事前に行っておきたい準備には、以下が挙げられます。
目的とターゲットを再定義する
どのような人に向けたホームページにするのか、目的とターゲットを再定義します。
ターゲットが曖昧または広域過ぎる場合には、サイト内での訴求軸が定まらず、課題・ニーズを満たす情報提供やアプローチができなくなります。
ホームページを通じて「誰にどのようなアクションを促したいのか」を明確にすることにより、サイト設計やコンテンツの方向性が定まり、制作会社との認識も統一できます。
▼製造業におけるターゲットの例
- 研究開発部門の設計者
- メーカーの購買担当者
- 製造現場の品質管理部門や開発部門の担当者 など
自社の強みや提供価値を明確にする
製品や技術を一覧化するだけでは、ホームページを訪れた人が「どのような課題に対応できるのか」「自分たちのニーズに対応してもらえるのか」といった具体的な問題解決のイメージができません。
ターゲットに響く情報提供やアプローチを行うためには、自社の強みや提供価値を明確にして、制作会社に言語化して伝えられるようにすることが必要です。競合他社や市場環境などを多角的に分析して、自社と比較した客観的な評価を行うことがポイントです。
▼分析・比較するポイント
- 製品
- 技術
- 品質
- 生産・サプライチェーン
- 保有人材
- ブランド力
- 市場の優位性 など
また、ホームページの企業理念・ビジョン・ミッションなどのページにこれらの情報を掲載することで、企業としての信頼性や姿勢が伝わりやすくなります。
コンテンツの素材を用意する
ホームページのリニューアルで時間がかかりやすいのが、コンテンツの制作です。
コンテンツに使用する素材を事前に用意しておくことで、制作会社での企画や設計をスムーズに進めやすくなります。
▼素材の具体例
- 企業ロゴ
- 製品・設備の写真
- 会社パンフレット
- 製品カタログ
- 導入事例・実績
- 取得している認証の証明書 など
制作会社に提供する素材については、使用期限や社外公開の可否などについて社内のガイドラインを確認しておくことも欠かせません。
提案依頼書（RFP）を作成する
提案依頼書（RFP）は、ホームページ制作やシステム開発などを依頼する際に、発注者側が要件や要望などをまとめて伝えるための文書です。
ホームページをリニューアルする目的や課題、ゴールなどを共有することで、制作会社との認識のずれを防ぐことができます。また、プロジェクトの全体像と制約条件を事前に伝えることにより、大幅な追加費用や納期遅延のリスクを抑えられます。
▼ホームページ制作の提案依頼書（RFP）に記載する主な項目
- 会社概要
- リニューアルの背景（目的や課題）
- リニューアルを通じて目指すゴール
- 必須とするコンテンツ
- 必須とする機能
- 希望の予算
- 制作から納入までのスケジュール
- 提案書の提出期限・提出方法 など
製造業のホームページ制作にかかる費用
製造業のホームページ制作にかかる費用は、サイトの規模やコンテンツの内容、ページ数などによって変わります。また、個人または代理店（中小・大手）に依頼するかによって費用の差があります。
▼ホームページ制作にかかる費用の目安
| サイト規模 | 内容 | ページ枚数 | 費用相場 |
|---|---|---|---|
| 小規模 | 会社概要・サービス・お問い合わせページのみ | 10ページ程度 | 30万～100万円 |
| 中規模 | 基本的なページに加え、商品説明や採用情報などコンテンツを盛り込みたい | 30ページ程度 | 150万～400万円 |
| 大規模 | SEOを考慮した設計、オリジナルなデザインや仕様、コンテンツの作成を行いたい | 50ページ以上 | 400万～800万円以上 |
すべてのコンテンツを新しく制作する場合や、独自性のあるデザインや仕様にこだわりたい場合などは、費用が高額になる場合があります。具体的な費用については、制作会社に見積もりの作成を依頼しましょう。
製造業がホームページ制作会社を選定する際にチェックしたいこと
ホームページのリニューアルを成功させるには、製造業に関する深い理解があり、実績が豊富な制作会社を選ぶことが大切です。ここからは、制作会社の選定時にチェックしておくことについて解説します。
製造業での制作実績
制作会社によって実績のある業界や得意とする分野は異なります。製造業は専門性が高いことから、業界知識や商慣習などの理解が深い制作会社を選ぶことが重要です。
製造業やBtoB向けの商材についてホームページ制作の実績があるかどうか、Webサイトや制作実績の資料などで実際のデザイン・コンテンツを確認しておく必要があります。
ホームページ公開後の成果（問い合わせ数の増加、資料請求数の増加、商談移行数の増加など）を公表している制作会社であれば、信頼性が高いと判断できます。
マーケティングに基づく提案力
リニューアルが単なる「デザインの改修」で終わらないように、マーケティングに基づく提案力がある制作会社を選ぶことが有効です。
▼提案力を判断するポイント
- 自社の課題を解決するためのサイト設計やコンテンツ案を提案できるか
- SEO（検索エンジン最適化）を考慮したコンテンツ制作ができるか など
マーケティングの観点からホームページをリニューアルしてくれる制作会社を選ぶことにより、リード獲得やブランディングなどの成果が期待できます。
運用改善のサポート体制
ホームページのリニューアルは、制作して公開することがゴールではありません。
よい多くの成果につなげるには、運用後のアクセス解析やユーザー分析を行い、継続的な改善に取り組むことが重要です。
効果測定やレポートの作成、改善策の提案・実施などをサポートしてくれる制作会社を選ぶと、社内のリソースに課題がある現場でも持続的な成果を得られるホームページの運用が可能になります。
まとめ
製造業のホームページをリニューアルすることで、自社の技術力や信頼性、競合他社との差別化要素などを明確に伝えられるようになり、ビジネスチャンスの拡大が期待できます。
リニューアルを依頼する際は、目的・ターゲットや自社の強みを明確にするとともに、制作会社との認識を統一するための情報を事前にまとめておくことがポイントです。
TMCデジタルでは、製造業向けのWebマーケティング支援を行っております。ホームページの制作・リニューアルにも対応しており、サイト設計からSEO、運用までトータルサポートが可能です。
「ホームページをリニューアルしたいけれど、社内にIT担当者がいない」「どのように制作・運用を進めればよいか分からない」といった方も、安心してお任せください。まずは貴社の現状課題をお聞かせください。
